「コロナ禍での対人関係の悪化から会社員がひきこもりに?」国際学術誌に成果発表(2022年7月29日)

2022年08月01日

日本大学心理学部(坂本真士教授)とひきこもり研究ラボ@九州大学(加藤隆弘グループ長)の共同研究が、Current Psychology誌(IF=4.297)に2022年7月29日オンライン掲載されました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、日本では政府から外出の自粛が求められていますが、外出が減ることによって病的なひきこもりに移行していく危険性に関して、ひきこもり研究ラボでは懸念しております。

そこで本研究では日本の社会人(会社員がほとんど)対象のオンラインの前向き調査を行い、ひきこもりのリスク因子を検討しました。

2020年6月時点で週4日以上外出していた402名のうち、63名が半年後(2020年12月)には週1日未満しか外出しなくなっていたことが明らかになりました。

また、統計的なデータ解析からは、コロナ禍の自粛行動そのものよりも、人との交流に消極的な部分や周囲の人からのサポートが得られない状況が、社会人の孤立を深めるリスク因子であることが示唆されました。

さらに、私たちの職場で増えているといわれる新型/現代型うつについても、ひきこもりと興味深い関係にあることが示唆されました。新型/現代型うつの傾向が、ひきこもり状態に陥るリスク因子であることが同定されました。今後、ひきこもりと新型/現代型うつの関係をより明らかにする研究が必要といえます。

 

本研究の結果にかんがみると、職場での会社員に対する対人関係や情緒面へのサポートなどの適切な早期介入によって、病的ひきこもりへの移行を防ぐことができるかもしれません。

 

本論文の筆頭著者は、家族プログラム論文で学位取得した久保浩明 共同研究員(現・宮崎大学精神科助教)で、今回の解析に関しては、2021年より新たにラボに所属している堀江和正 テクニカルスタッフが頑張ってくれました。

下記のリンクより、原著論文をご覧になることが出来ます。
Kubo, H., Katsuki, R., Horie, K. et al. Risk factors of hikikomori among office workers during the COVID-19 pandemic: A prospective online survey. Curr Psychol (2022). https://doi.org/10.1007/s12144-022-03446-8

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